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    • Contemporary Art 2.012展
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  • イスタンブール滞在記 6
    夜、疲れ切って戻ってシャワーを浴び、さっぱりしたら疲れが抜けた。ホテルで寝てられなくなったので二人でタキシム広場へ行くことにした。

    タキシム広場から市内一の繁華街イスティクラール通りが走っている。おしゃれな店が左右にならびヨーロッパと変わらぬモダンな大通りだ。車は基本的に通行止めでパトカーや作業車、あと一両編成のかわいい路面電車が行き交うだけ。

    常に人であふれるイスティクラール通りだが週末の夜のせいか、今夜は異常に人が多い。渋谷センター街なんか比べものにならないくらいすさまじい。裏通りに抜けるとびっしりとレストランやカフェ&バーのような店が並び人があふれている。

    ハロインなのか仮装した客がいたクラブっぽい店は満員で店内を見学だけして近くの学生街のパブのような小じゃれた店に入る。EFES(エフェス)という地元ビールの大ジョッキで300円弱。それもけっこう美味しい。客は大学生っぽい若い人が多い。

    トルコは国民の90%以上がモスリム(回教徒)だが、政教分離がとてもうまく機能している。だから酒も売っているしタバコも女性の服装も社会進出も欧米と変わらない。

    外に出るとイスティクラール通りは変わらぬ人混みだ。きっと朝までこんな調子なんだろう。自分たちは最終電車に間に合うようにホテルに急いだ。酔っぱらいもいないしヤンキーっぽい若者もみんなちゃんとぶつからないように避けるし彼らのマナーはすこぶるよかったのが印象に残る。

    31日は朝から快晴だった。

    今日、ワカンさんは市内観光へ。自分は会場に行き7月にポンピドゥーセンター広場でデビューを飾ったフリーシェイクハンズプロジェクトをする。皆さん、握手しましょう!というパフォーマンスだ。今回の滞在では市内観光はしないで毎日パフォーマンスやるつもりだ。

    会場に向かう前少し時間があるので、近くにあるグランバザールに行くことにする。バではなくパザールと発音するらしい。

    パザールはまだオープンしたばかりなのか空いていた。お土産屋がびっしりと並ぶ。布、アクセサリー、お菓子、絨毯、香辛料、服どれも色艶やかだ。店員が次々と声をかけてくる。見るだけでいいから、としつこく誘ってくるが冷たく無視だ。

    ワカンさんがある骨董屋の片隅に弦楽器を発見。ラバーブというアフガニスタンの民族楽器らしい。値段を聞くと500TL、約3万円弱だ。値切ってみるが値段は落ちない。

    とても珍しい楽器らしく弾かせてもらう。すると軽やかなアラビアンナイトのような中近東特有の音色を発した。胴に厚みがあり共鳴弦が多いのでキラキラする音がする。素人の自分が聞いてもクオリティの高い品だと思った。しかし安くならないので今日のところは諦める。三回くらい通って愛をしめせばきっとかなり値切れるよ、とワカンさんにアドバイス。

    自分はトラムで終点のカバタッシュから地下ケーブルカーでタキシム広場へ。海岸線にあるカバタッシュから丘のうえにあるタキシムまではケーブルカーでないと斜面が急すぎて登れないようだ。

    駅を降り地上に出ると人々がみなそろって同じ方向を眺めている。低空にヘリコプターが飛び交いずいぶんと騒がしい。何かあったのだろうか?

    とりあえずバスがきたので乗り込んだ。今日はトルコのパフォーマンスグループが上演する。会場入り口はすでに老若男女たくさんの見学者で賑わっている。

    ブースに着くやいなやトルコ人の仲間が今朝、テロがあったと開口一番に言ってきた。自爆テロが送迎バス乗り場のタキシム広場であったという。自分がそこを通りかかったときの騒ぎはテロのせいだったのかと思う。かなり負傷者も出ているらしい。

    自爆テロなんて遠い国の出来事だとばかりと思っていたが現実に遭遇することになるなんて思いもよらなかった。後から知ったのだが警察官を狙った自爆テロで死者2名、負傷者32人におよんだ大事件だった。

    トルコはクルド民族の独立問題がある。今回もその組織の犯行らしいがそれは建て前で、本音を言うと欧米にとってトルコは地政学的に重要な位置にあるため、国家力が増したり経済発展されては困るのだそうだ。

    黒海油田、天然ガスの通り道ボスポラス海峡の所有、それらのパイプライン、イラン、イラク、シリア、ギリシャ、ブルガリア、グルジア、アフガニスタンなどヨーロッパとイスラム国家の国境に挟まれている外交的にも重要な立ち位置だ。

    今回の犯行もトルコ人らはCIAの仕業だと言う。テロをおこしトルコは危険な国だ、と喧伝する。観光客が減るしイスラム教の悪いイメージも重ねられる。テロの成果を狙うなら土曜の夜とかの方が被害は想像を絶するほどひどいはずだ。だが一番人出のすくない日曜の朝10:30に遂行している。

    街中にはブルカをまとった女性が多い。現在、トルコ政府は保守派が占めているため国としてはイスラム教優遇の傾向らしい。でも自由なファッションの女性もブルカをまとった女性もお互い仲がいいしそれもファッションの一部だと思っているのかそれほど気にはしていないようだ。

    アルパーさんのパフォーマンスが始まる。トルコの有名な民族舞踊にセマーというクルクル回る旋舞がある。彼はそれをパフォーマンスに取り入れバイオリンの演奏をバックに回る。よく目が回らないと感心する。なんと4時間、回っていたこともあるそうだ。

    彼の上演が終え、Free Shake Hands Projectの準備にとりかかる。自由に握手しましょう!(LUTFEN ELIMI SIKIN)というフレーズをトルコ語で教わり、それを書いた紙を用意する。

    さっそく人々が興味深げに立ち止まりはじめる。このパフォーマンスは人間彫刻だ。決して動いたり口を開いてはいけない。ただ握手をしたときにメルハバ、こんにちは、と答えることにした。

    パリでもそうだったが、彼らの会話がまったく理解できないのが幸いだ。きっとひどいことも言っていると思う。わかったら黙っていられなくなるだろうし、つい返事をしてしまうだろうし、気持ちが動揺して長い間じっとしていられないだろう。

    あおひと君はトルコの人たちにも大人気。人形だと思っている人も多く、二の腕や体をつっついたり握手をしてみてメルハバと答えると人間だ〜と驚いていたりする。自分でもなぜこんなに受けるのかわからない。特に若い女子供にはよほどこういうモノは珍しいのか大笑いしながら寄ってきていろいろ観察したり握手をしてくる。

    トルコの女性は積極的だ。見た目は上品でおしとやかに見えるのだがなかなか、けっこう気も強そうだ。現地の人が言うにはイスタンブールでは20%くらいの女性が開放的、自由な考え方で残りは保守的だそうだ。つまり結婚するまで貞節を守る。

    この日、Free Shake Handsパフォーマンスを約3時間行った。体がおかしくならないか、手はあげたままで疲れないかといろいろと聞いてくるが、自分は動かずにじっと固まったままのポーズでいられる。ヨガでやる呼吸法をしながら思考を風船のようにふくらませると瞑想に似た状態になる。すると体が微動だにせず固まる。たまに腕や足の位置を少しだけ動かすが苦痛とかしびれることがほとんどない。

    2日目も無事終わり、帰り送迎バスがテロのあったタキシム広場に戻る。が、すっかり現場は事件の影響の跡形もない。人はいつもと変わらずあふれているし、警察の厳しいチェックもないしまったく普段とかわらない状態。さしずめ日本だったら現場検証やらマスコミの取材陣で異様な光景になっているはずだろう。

    写真はグランパザール
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    Free Shake Hands Project
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    アルパーさんパフォーマンス
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